腕時計愛好家の生活を丸裸にする Watch My Life
第1回 夢幻泡影since1975さん
エロさについ、財布の紐が緩むんです。
インスタグラムのストーリーで自ら晒す私生活は、
いつも女性とのデートに出かけると思いきや、
最後は決まって腕時計の写真で締めくくる、さすらいの独身ドクター。
彼が腕時計に求めるものは、ごちゃごちゃした見た目と、エロさ、そして重さだった。
そのような条件に見合う女性は果たして現れるのだろうか。
Photos 渡辺直人 Naoto Watanabe
Words くろのぴーす Chrono Peace
夢幻泡影since1975さん
都内在住/職業:医師
Instagram @mugenhouhyou1975
着けるだけで引き締まる
僕は、腕時計のためにしっかりと働きます。医師業として年間の収入に予想がつくので、常勤以外の、非常勤からの収入を腕時計趣味に当てています。普段はブティックに「あれが欲しい」とアピールしておいて、それがオファーされた時にタイミングよく買えるように準備しているんです。
とにかく毎日、まず最初に、昨日とは違う時計をつけることをボヤッと考えます。着る服を決めて、ちゃんとした格好をしてから、シャツを着てネクタイ締めて、最後にその格好に合わせて腕時計を着けます。そして靴を履いて外に出ると、背筋がピンと締まるんです。腕時計を決めて靴を履く瞬間に、まるで戦いに出かけるための武装、言わば鎧を着て1日が始まるような感覚で身が引き締まるのがたまらない。それが理由で腕時計がやめられないんですよね。
腕時計は、一般的には一生物と言われますよね。でも、そういう感覚で買っていても、やはりどこかで飽きてしまったり、趣味が変わってきたりすることがあるのが現実です。かつて、持っていた中で一番高かったブレゲのトゥールビヨン。その自分にとって一番美しかったものを売りに出したら、買った時は1,300万円もしたものが500万円を切ったことに衝撃を受けました。それまでは、腕時計を売るなんていう感覚さえ持ち合わせていなかったのに。それがインスタを始めてしまって、いろんな人の時計に目移りしてしまって、数年に1本しか買わなかったような自分が、他のものを買うためにブレゲを売ってしまったんですよ。
あれだけ好きな腕時計だったので、売ってしまったことを少しだけ後悔していますが、もしそのまま置いていたとしたら、他の腕時計が今僕の元に存在していない。まさにそんな、別れと出会いの繰り返しです。
そんな私の「あこがれの腕時計」は、ずばりパーペチュアル・カレンダーです。具体的にはパテックの5270。とにかく、クラシックなドレス時計のパーペチュアルが昔からずっと大好きなんです。あの、ごちゃごちゃしている感覚がたまりません。
「こだわりの腕時計」はパテックの5270と5940です。5270はちょっとレトロでサーモンピンク文字盤の、5940はイエローゴールドのクッションケースの、それぞれクラシックな感じがポイントですね。以前で言うとブレゲが自分のこだわり腕時計だったんですが、3、4本所有して満喫したらパテックに目移りしてしまいました。インスタで見たノーチラスを入り口に、皆さんのパテックに接する機会が増えてしまって、徐々にそちらに惹かれてしまいました。好きだったブレゲと並べてみると、やはり今はパテックに軍配が上がってしまいます。
「実用の時計」はAPロイヤルオークのエクシンと、パテックのノーチラス5712のローズゴールドですね。結局はそのふたつの使用頻度が高くなります。スーツでもニットでも、オンでもオフでも合う。ドレス感がそう強すぎ…
続きはクロノセオリーマガジン本誌でご覧ください。